プロダクト PRODUCT

マーベルやディズニーキャラクターの腕も!子どもたちがヒーローになれる義手

岸 由利子 | Yuriko Kishi

2018年4月25日、世界で初めて医学的に認可された、3Dプリントのバイオニック・アーム(筋電義手)「Hero Arm(ヒーローアーム)」が、ついに発売した。開発を手掛けるのは、英国ブリストルに拠点を置くOpen Bionics社。昨今、人知を超えた驚異的なバイオニック・テクノロジーの数々が生まれているが、義肢を必要とするほとんどの人にとっては、あまりにも高価すぎるため、それらを駆使したプロダクトには手が届かない。同社は、そんな現状を全面的に変えようと、「手頃な価格で手に入る、3Dプリントのバイオニック・アームを開発する」というミッションを掲げ、それをみごとに実現。義肢開発に革命を起こすべく、大きな第一歩を踏み出した。

「Hero Arm(ヒーローアーム)」は、皮膚に取り付けたセンサーが、筋肉の動きを検出することによって動き、その動きが、手指の動作をコントロールするという仕組み。開いたり閉じたりすることはもちろん、掴む、つねる、ハイタッチ、グータッチ、ゴーサインなど、健手と同じように、さまざまな動きを可能にしている。

Open Bionics社は、ヒーローアームの開発にあたって、義肢サービスに年間約7500万ドルを費やすNHS(英国の国民保険サービス)と提携し、義肢を必要とする子どもたちのための臨床治験などを行ってきた。

「小さいサイズがない、高価すぎるなどの理由から、子どもたちが、義肢のデバイスに触れられる機会はほとんどなく、親御さんは購入することができず、また、NHSも供給することができないという状況でした。しかし今、バイオニック・アームを身につけて、その手指を初めて自分で動かす子どもたちの姿があります。実に、素晴らしいことだと思います」とOpen Bionics社のCOOを務めるサマンサ・ペイン氏は話す。

同社では、「子どもたちが、自分の義手を誇りに思えること」を目標に、スターウォーズやディズニー、マーベルなどのキャラクターに着想を得たバイオニック・アームの開発も、フランチャイズ展開している。ウォルト・ディズニー社においては、ロイヤリティフリーの協定を結んでいることを踏まえれば、今後、義肢のイメージが、医療的なものから、よりエンターテイメントに、誰もが親しめるものへと大きく変わっていく可能性を大いに秘めているといえるだろう。

1体のバイオニック・アームの制作にかかる時間は、40時間ほど。もとの腕をスキャンしたのち、デザインの詳細を決めれば、あとは3Dプリント技術によって、実物が出来上がるのを待つのみ。従来の義肢の約1/3以下にあたる価格で手に入れることができる。

義肢をファッショナブルで、誰にとっても、手に届くものにしたい――ペイン氏が思い描くヒーローアームの未来は、すぐそこにあるのかもしれない。

Open Bionics
https://openbionics.com/

[TOP動画引用元:https://youtu.be/IyzrKB2WVtQ

(text: 岸 由利子 | Yuriko Kishi)

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BALMUDAの新製品は、手術灯から生まれたライト

HERO X 編集部

命を扱う現場で取り扱われる道具には、最新鋭の技術が使われることが多い。その技術に目をつけて、商品開発した会社がある。東京都に本社を置くバルミューダ株式会社は、手術灯国内シェアナンバーワンの山田医療照明と共に、目への負担を抑え、手元に影を作りにくい構造のデスクライト「バルミューダ ザ・ライト」を開発、販売をはじめた。

手元が正確に見えることが重視される手術現場で、手術を支える光りを提供してきた山田医療照明が、クリエイティブとテクノロジーでモノづくりに参加するバルミューダ株式会社と共同で開発したもの。スタイリッシュさと実用性を兼ね備えたデスクライトは、特に、子どもの利用を想定したデザインにされているようだ。ライトを支える土台の部分には、鉛筆などが入れられる。デザインは至ってシンプルなため、付属するデコレーションシールを貼らなければ、大人の書斎でも十分に使えそうだ。

子どもの利用を想定して専用のデコレーションシールがついている

このライトの目玉はなんといっても目への負担が少ないこと。手術灯は無影灯とも呼ばれるようだが、これを机の上でも実現したのだ。少し離れた場所から照らすことで目線の先に影を作らない構造で、特に、ライトを手元の反対側に置けば、影のない状態を作り出してくれる。

また、色味の見え方にもこだわり、使用するのは手術の現場でも使われている太陽光LED。正確な色味で見えるため、実は美術館での利用も多い。太陽光LEDはもうひとつ大きな特徴があり、一般的な白色LEDライトと比べてブルーライトのピーク波長は約半分、つまり、目への負担がやわらげられる。

定価は37,000円(税別)。バルミューダオンラインストア・BALMUDA The Kitchen松坂屋銀座をはじめ、主要家電量販店などで予約販売を開始している。

(text: HERO X 編集部)

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