テクノロジー TECHNOLOGY

世界ではライドシェアに自動運転車も参入 どうなる日本のライドシェア

現在、世界ではライドシェアの動きが加速している。ライドシェアとは、配車マッチングアプリなどで一般のドライバーと利用者を結ぶ仕組み。日本では法規制の関係などで普及していないが、世界ではすでにアメリカのUberや中国のDiDiなどなど、有力企業が生まれている。そんななか、GM傘下のCruise(クルーズ)が、今年の初めにライドシェア用の無人自動車を披露した。ライドシェアや自動運転技術は、我々のモビリティをどう変えるのか。

海外で急成長するライドシェア
日本はタクシー業界が導入

クルーズが発表したシェアリングサービス用の電気自動車「Cruise Origin」。すでに、サンフランシスコで公道試験も兼ねて、クルーズ社の社員用ライドシェアサービスに投入している。走行実績は約160万km。このデータをもとに学習したアルゴリズムを搭載し、量産する予定だという。

「Cruise Origin」には4人分の座席があり、間口の広いスライドドアや低い床は、様々なハンデを持つ人にも優しそうだ。ライドシェアは自分で運転ができない人へも提供される機会が多いことを考えると、高齢者や障がいを持つ人のニーズを確実にとらえるのではないだろうか。同社ではサービス開始当初は、比較的安全なエリアでの走行を予定している。

一方で、日本のライドシェアの実情はというと、注目は高まりつつあるものの、法規制の壁が大きい。日本では有償のライドシェアは「白タク」とされてしまうからだ。前述のUberも、福岡市で行った2015年の「みんなのUber」実証事業で日本に参入するも、国交省に「白タクにあたるため違法」と認定されてしまった。日本のライドシェア事業は、海外に大きく差をつけられているのが実情だ。

ただし、動きがないわけではない。一般車両を有償で提供すると違法になってしまうため、日本では配車サービスとタクシー会社が提携するという形で、独自のライドシェアが推進され始めた。また、ボランティアで提供する分には法的な問題はないため、NPOや自治体が提供する形で、各地で実証実験も行われている。今年の1月には経済同友会がタクシー事業者が一般ドライバーを活用する「日本版ライドシェア解禁」も提言した。タクシー業界はドライバーの高齢化によって人手不足が問題化しており、部分的なライドシェアの採用に期待がかかる。

また、自動運転車に関しても、各地で小規模な実証実験が実施されている。法改正も進んでおり、今年4月にはいよいよ公道での “レベル3” (一定の条件下であればシステムや周辺状況を監視しなくてもよい) の自動運転が解禁された。

いずれにしても、世界のモビリティは変革し始めている。自動運転車の開発や、ライドシェア事業への参入の議論は、日本でも避けて通れない。日本独自の事情を考慮しつつも、柔軟な法改正や規制緩和が待たれるところだ。

(トップ画像:https://www.didiglobal.com/about-didi/about-us

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さあさあ、こちらへどうぞ!自動で車を誘導してくれるパーキング・ロボット

HERO X 編集部

遊園地や空港など、巨大な駐車場内で空きを探してさまよった経験はだれしもあることだろう。そして、運よく駐められた場合でも、目印などの少ない平面の駐車場の場合、自分の車をどこに駐めたのか分からなくなることがある。暑さの厳しいこの頃では、この駐車場での迷子は体力を消耗、熱中症にもなりかねない。そんな不便をテクノロジーの力で解決してくれるのが動画に紹介されているパーキング・ロボット。フランスのスタートアップ Stanley Robotics が開発を手掛ける自動駐車ロボットだ。

まるで青い目のような光を放ちながらやってくるのが自動で駐車をしてくれるパーキング・ロボット。顔立ちはとても愛らしい。使い方は簡単で、ドライバーが所定の車庫に入れると、このロボットがサッと現れて車体の下に器具を滑り込ませ、駐車場内の空いているスペースまで運んでくれるというものだ。コンピューターにより空いているスペースを常に把握しているため、人間が探すよりもはるかに早いスピードで駐車が完了する。すでにリヨン・サンテグジュペリ空港では利用がはじまっているようだ。フライトぎりぎりという時に限って空きの見つからない駐車場。このパーキング・ロボットがあればハラハラする時間を過ごさなくてもよくなる。

空港の駐車場の場合、予約の際に旅のスケジュールを入れておけば、預けた時には奥の方のスペースに駐めてくれ、帰るころには手前に移動。顧客のスケジュールを踏まえながら駐車位置を変更するのもパーキング・ロボが自動で行ってくれる。特に、ドライバーが車いすユーザーの場合など、入り口からはるか離れた場所まで車を取りに行くのは一苦労だ。また、駐車場内でさまよえば、場内を走行している車との事故に遭わないとも限らない。まさしく利便性と安全をもたらしてくれるシステムとも言えるだろう。

また、駐車場を管理する会社としてもありがたい。その日は出庫予定のない車の前には別の車を詰めることで、無駄なスペースを削減できる。なおかつ、誘導員もごく少数でまかなえるため、人件費の削減にも繋がりそうだ。こうしたロボの導入により、実は空いているのに満車の看板が出されることもないだろう。

[TOP動画引用元:https://stanley-robotics.com/solutions/how-it-works/

(text: HERO X 編集部)

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