テクノロジー TECHNOLOGY

ウェアラブルなロボットアーム「SPL」は、第3の腕と成り得るか?

Yuka Shingai

忙しいときに口をついて出る「猫の手も借りたい」という言葉も、これからは「ロボットの手も借りたい」になるかもしれない。今回、紹介するロボットは、なんと身に着けられる「ウェアラブル」なロボットアーム。「第3の目」ならぬ「第3の腕」は私たちの生活をよりイージーにしてくれそうだ。

アリゾナ州立大学の研究チームが開発した『SPL』はその見た目が、映画「ゴーストバスターズ」に登場する幽霊退治&捕獲装置のプロトンパックのようでちょっとユーモラス。背負ったバックパックからは内部が液体で制御された弾性素材のホースのようなロボットアームが伸びている。

アームの先に配したバキュームで物を吸いつけ、リンゴやコップ、ボールなどをつかむことから、カードキーをドアにかざしたり、ドアを開けることまで可能。アームは3パーツに分かれ、それぞれのパーツの結合部分をリングで補強することで、柔軟性と強さを保ち、自由自在に動かせるようFEM(有限要素法)と呼ばれる数値解析を用いている。

全体で包み込むようにつかむと、そのものの重さの2.35倍の重量まで持ち上げられる『SPL』は両手がふさがっているときにドアを支える、高いところに置いたものを取る、素手で触るには危険なものをつかむなど日常的な動作のサポートはもちろんのこと、障がいや体の不自由を抱える人のほう助までこなしてくれそうだ。

同チームはまだデバイスの改良にあたっているため、今すぐに使用開始というわけにはいかないが、便利グッズとしてのポテンシャルも高く、一般市場への公開が心待ちにされている段階だ。

(text: Yuka Shingai)

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まるで頼もしい相棒?電動車いすに取り付けられるロボットアーム「JACO」

Yuka Shingai

物をつかむ、持ち上げる、運ぶ…日常生活において手や指を用いる場面は数えきれないほど多い。ケガをしたり、荷物を両手に抱えて、動作が制限された際にストレスを感じたことは誰しも身に覚えがあるのではないだろうか。手に不自由のある人の行動を後押しするロボットアームの中でも、カナダのベンチャー企業 KINOVA による「JACO」は、電動車いすにつけて使用することができる、他に類を見ない製品だ。

カーボンファイバー製であらゆる気候にも耐えうる「JACO」には2本指タイプと3本指タイプがある。本体は5.2㎏と軽量ながらも最大1.6kg、90cmまで離れた物を持ち上げることができ、手首の動きも60度とフレキシブルだ。電動車いすに取り付けることで、ユーザーは1人で外出してエレベーターに乗ったり、ドアの開閉、食事や髪の毛を自分で洗うことなどもできる。

ことの始まりは CEO である Charles Deguire 氏が持病に筋ジストロフィーを抱える叔父のJacquesを助けようと考えたことにある。Jacquesが物を拾い上げるために間に合わせで作った独創的なアームにインスパイアを受け、Charlesは共同創設者となるLouis-Joseph L’Écuyerとともに2006年にKINOVAを立ち上げた。

2009年に「JACO」の第1世代を商用化してから今日まで、KINOVAは人間の生活に革命を起こすロボットを立て続けに開発し続けている。「JACO」を実際に利用しているユーザーからは「友情が芽生えた」「自分にとっては側近のようなもの」という声も上がるほど、その実力と信頼の程は確か。

ロボットは決してモノではなく、人間の相棒なのだという、明るい未来を感じさせる存在だ。

[TOP動画引用元:https://youtu.be/r3yWmf8blz0

(text: Yuka Shingai)

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