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テーラーメイドの外骨格が誕生!?ヒュンダイが、着用型ロボットをどんどん出してくる

岸 由利子 | Yuriko Kishi

「CES」って、ご存知ですか?これは、コンシューマ(C)・エレクトロニクス(E)・ショー(S)の頭文字を取った、世界最大級のコンシューマ・エレクトロニクス見本市のこと。今年1月、米国・ラスベガスで開催された「2017 International CES」では、韓国を代表する大手自動車メーカーのヒュンダイが、 “一歩先を行く”プレゼンテーションを披露し、話題を呼びました。観客が全く予期しなかった驚きの発明とはー

自動車のエキスパートが開発した“テーラーメイド外骨格”

ヒュンダイといえば、車。最先端のコンセプトカーが登場すると思いきや、プレスカンファレンスの壇上に現れたのは、なんと「H-MEX」という名の着用型ロボット!H-MEXとは、両足の運動麻痺により、歩行障がいのある対まひを患った人のためにデザインされた外骨格のこと。下肢と背中を補強するための機器と、両腕を支える松葉杖が合体したようなハイテクな外観が特徴的なデバイスです。「座る、立つ、動く、回る。あるいは、階段の昇り降りなど、脊椎下部を傷めた人にとって必要な能力を補うための設計を実現しました」と語る同社の主任エンジニア、ドン・ジン・ヒュン氏は、自らデバイスを着用し、ステージ上で歩く姿を披露。ユーザーの歩行速度や歩幅、胴体の傾斜角度までを計測し、一人ひとりにあったテーラーメイドの歩行用器具に作り上げたーこれこそが、H-MEXの凄さ。だが、驚くことなかれ。ヒュンダイでは、現在製作進行中のハイテク・ロボットがもう2つあるのです!

©Entrepreneur

高齢者、肉体労働者のためのハイテク・デバイス

ロボットの名前は、「HUMA」と「H-WEX」。ヒュン氏によると、HUMAは、高齢者をはじめ、限られた可動性を持つ人のために設計されたデバイス。前述のH-MEXに外観は似ていますが、ユーザーの体重40kgまでサポートし、時速12kmのスピードで走行可能になるなど、補助トルクを採用することで、より円滑に体を動かせる構造を実現しています。

一方、H-WEXは、主に肉体労働者など、背中や下肢部に負担のかかる仕事に就く人のために、怪我が起きる前の防止策として設計されたもの。いずれも、取り外し、充電可能なバッテリーパックで動く仕組みで、“骨格”は、さまざまなサイズに適応できる調整可能な仕様になっています。

「ヒュンダイには、今回発表した外骨格を生産できる能力があります。近い将来、人間社会に真の違いをもたらすものになることを願っています」とヒュン氏。これらのデバイスを入手できる日はそう遠くないはず。ヒュンダイの外骨格から目が離せない。

(text: 岸 由利子 | Yuriko Kishi)

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スクーデリア アルファタウリ×RDS×伊藤智也 『RDS WF01TR AT01』発表

株式会社RDS(代表:杉原行里 /スギハラアンリ 以下、RDS)とスクーデリア アルファタウリ(代表:フランツ・トスト)は、車いす陸上 伊藤智也選手をテストドライバーに開発した車いすレーサー「RDS WF01TR」のF1 アルファタウリ・ホンダ「AT01」カラー『RDS WF01TR AT01』を発表した。デザイン・データ・テクノロジーをキーワードとした両社のパートナーシップを象徴するマシン。

デザイン・データ・テクノロジー、
最速の舞台から生まれる私たちの日常

『RDS WF01TR AT01』は、車いすレーサー「RDS WF01TR」がF1マシン「AT01」とカラーリングでコラボレーションし誕生したマシンだ。なぜ、車いすレーサーとF1マシンがコラボレーションするのか。F1も車いす陸上も最速を競う舞台であるとともに最先端の技術開発の場でもある。そこで生まれる技術は様々な形で日常に落とし込まれ、私たちの新しい日常をつくりだしている。また、F1マシンも車いすレーサーも、人とマシンが最適化されることで高いパフォーマンスを発揮することができる。

今回、マシンのデザインはRDS、カラーリングデザインをスクーデリア アルファタウリが担当。RDSとアルファタウリ・ホンダがパートナーシップは、“デザイン・データ・テクノロジーを通して、新しい日常をつくる”という共通のコンセプトのもとにあり、『RDS WF01TR AT01』は、このコンセプトを象徴するマシンとなっている。

身体データをもとにパーソナライズ化された
車いすレーサー「RDS WF01TR」

「RDS WF01TR」は、アスリート自身の能力を最大限に引き出し、競技パフォーマンスを向上させるために設計および開発された車いすレーサーだ。車いす陸上の伊藤智也選手をテストドライバーに迎えたマシンの開発では、コースでの走行テストだけでなく、モーションキャプチャーを活用した動作分析などを重ね、マシンの動きや走行中のフォーム、力の分散バランスなど「感覚を数値化」。また、開発過程において、車いすは座面の位置が人の能力に大きな影響を与えることが明らかになり、シーティングポジションの最適解を導き出すシミュレーターで医療格差や移動弱者などの社会課題解決にも寄与する「RDS SS01」※を開発。選手に最適な座面や背もたれの位置を導き出すなど、マシンをパーソナライズ化することで、選手のベストパフォーマンスを引き出す。短い距離のレースにフォーカスを当てたデザインは、超軽量、高剛性、高加速であり、コーナリング時のボディホールドと安定性を向上させている。

※「RDS SS01」
ロボット工学のスペシャリスト千葉工業大学・未来ロボット技術研究センター「fuRo」協力のもと開発した最適なシーティングポジションを導き出す測定システム。現在、国立障害者リハビリテーションセンター(運動機能系障害研究部 神経筋機能障害研究室)にて頸髄損傷者に対し基本試験を開始。

スクーデリア アルファタウリ
F1チーム代表 フランツ・トスト コメント

この度は私達スクーデリア アルファタウリとRDSのコラボレーションマシン、『RDS WF01TR AT01』を発表できることを大変嬉しく思います。

以前から私達スクーデリア アルファタウリとRDSには非常に共通点が多いということを感じておりました。RDSがアスリート自身の能力を最大限に引き出し、競技パフォーマンスを向上させるためにたくさんの時間とテスト、分析を経て車椅子レーサーのマシンを完成させるように、F1マシンも数年をかけて設計、デザイン、ドライバーとのミーティングを重ね、シーズン開幕前のテストと膨大なデータを持ってやっとのことで世に送り出すことが許されるのです。その工程に一切の妥協は許されません。

F1と車いす陸上という最先端の技術開発の場で生まれた技術が新しい日常を作り出し、よりよい社会への貢献へと繋がることができるよう、これからもスクーデリア アルファタウリとRDSのパートナーシップを通じて両者が積極的にコラボレーションを行い、ファンの皆様へ発信していくことができれば幸いです。ぜひ今後のコラボレーションにもご期待ください。

株式会社RDS 代表取締役社長
杉原行里コメント

この度、スクーデリア アルファタウリとRDSのコラボレーションによって誕生したプロダクト『RDS WF01TR AT01』を発表できたことを大変光栄に思います。

この『RDS WF01TR AT01』は、チームRDSにとって特別なプロダクトです。私たちは、2017年に当時現役を引退されていた車いす陸上の伊藤智也選手をテストドライバーに迎え、メダル獲得を目指して車いすレーサーの開発プロジェクトをスタートしました。F1マシンが数多くのテストを重ね、膨大なデータをもとに開発されるように、選手の特性や感覚を数値化し、様々なデータをもとにパーソナライズされたマシンが「RDS WF01TR」です。

しかし、このプロジェクトの最終的なゴールは、メダルではなく、最速を追求するなかで生まれる技術を医療や福祉など、私たちの日常に落とし込むことにあります。そして、この考えこそがスクーデリア・アルファタウリとRDSのパートナーシップの根幹であり、F1マシンと同じカラーリングの車いすレーサーは、そのメッセージを象徴するプロダクトだと思っています。

今後も、スクーデリア アルファタウリとのパートナーシップを通して、新しいテクノロジーやメッセージを発信していきたいと思っています。ぜひご期待ください。

■参考

究極のマシン開発に密着 伊藤智也×RDS社【究極のレースマシン開発】
パラリンピック伊藤智也選手の応援ソングはハニエルだった!マシン開発の裏側公開

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