医療 MEDICAL

血栓除去がスムーズに!血管内をスルスル移動するロボット「Robotic-thread」

HERO X 編集部

赤い液体の入る管状の通路をするすると移動していく物体。ミミズやヘビを連想させるこの物体、実はロボット。マサチューセッツ工科大学のエンジニアが開発を進める血管の中を自在に移動できるロボットデバイス「Robotic - thread」(糸ロボット)は、動脈硬化などで現れる血栓を取り除くことを目的に、開発が進められている。

同大学の准教授Xuanhe Zhao氏によれば、脳卒中はアメリカで5番目に多い死因。急性脳卒中の場合「発生から90分以内に治療できれば、患者の生存率が大きく上がる可能性がある」と話す。この敏速な治療のために期待がかかっているのが、研究を進めている糸型のロボットデバイス。これまで、血栓を取り除くために使われてきたのはカテーテルと呼ばれる管状のものだが、糸型ロボットはこのカテーテルよりも小さく、しかもより狭い所への侵入が可能だという。操作に使うのは磁力。動画でもシルバーの塊をかざしてロボットデバイスの向きを変えていく映像が見られるが、このように磁力によって動かせるため、カテーテルよりも扱いやすいという特徴もあるらしい。

これまでのカテーテルによる治療では、医師がその手でカテーテルを操り血管内へと進めていた。血栓まで素早く辿りつけるかどうかはまさに医師の手腕にかかる。糸型ロボットデバイスも自走するわけではないため、人による操作は必要となるが、外側から磁気で操ることができるため、血管内を移動させる技術の習得がこれまでのカテーテルよりも容易になり、血管内を早く進めることができるという訳だ。このデバイスの実現は、わたしたち日本の医療にも大きく関わる。日本を含む東アジアでは、脳卒中を起こす割合が他と比べて高いといわれており、国内の死因原因ランキングを見てみても、堂々の第3位。死亡とまではいかずとも、脳卒中が原因で後遺症として麻痺が残るケースも少なくない。血栓がスムーズに取り省けるようになるとすれば、これら後遺症を防ぐことにも繋がるはずだ。糸型ロボットデバイスの研究成果を期待したい。

 [TOP動画引用元:http://news.mit.edu/2019/robot-brain-blood-vessels-0828

(text: HERO X 編集部)

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通院不要の「Smile Direct Club」は歯列矯正のニュースタンダードになるか?

Yuka Shingai

見た目の美しさだけでなく、虫歯や歯周病のリスクが低減する、かみ合わせが良くなるなど、整った歯並びが健康面に及ぼす影響は大きい。しかしながら、定期的な通院が必要かつ費用が高額なことから、歯列矯正に踏み切るには覚悟してという声もよく耳にする。 米国で今年の9月にNasdaqに上場した「Smile Direct Club」は、これまでハードルが高かった歯列矯正のニュースタンダードとなるかもしれない。

「Smile Direct Club」の共同創設者であるAlex Fenkell氏とJordan Katzman氏の出会いは、13歳の時のサマーキャンプに遡る。キャンプの参加者ほぼ全員がびっしりと矯正のワイヤーを装着していたこと、またAlex氏自身も矯正器具を着けて青春時代を過ごしていたことを振り返り、2人は手頃でより良い歯列矯正の手法を作ろうと決意した。2014年の設立時より、投資グループCamelot Venture Groupの協力を得ながら、顧客が在宅で医師とやり取りできるビジネスモデルの実現に成功している。

「Smile Direct Club」の具体的なサービスは「イメージ作り」「マウスピースでの治療」「アフターケア」の3ステップで構成されている。実店舗でスキャンを行うか、もしくは自宅に送ってもらう専用キットで取った歯型のデータを元に、歯科医がレビューを行い、治療プランを策定して、3Dプリンターでマウスピースを作成する。

顧客はどのように笑顔が変化していくかプレビューで確認したのちに、日々、オーダーメイドのマウスピースを装着して理想の歯並びに向けて治療する。治療が完了した後は、就寝時に装着するリテーナーを別途購入して、矯正した歯並びが後戻りしないようキープすることもできるし、90日ごとに医師がオンライン上で状況をモニターしてもらうこともできる。

気になる価格は、月々85ドル×24ヶ月プラス初回のデポジット250ドルでトータル2290ドルか、1895ドル一括払いの2パターン。米国内での平均費用6000~8000ドルと比較するとかなり手頃で、定期的な通院が不要という手軽さから、すでに75万人以上の笑顔に貢献した実績を誇る。国外展開を含め、市場規模がどれくらい拡大するかも要注目だ。

[TOP動画引用元:https://vimeo.com/336377978

(text: Yuka Shingai)

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