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選手の“感じ方”を可視化し、パラ卓球の世界を体感できる卓球台

HERO X 編集部

人それぞれに違う痛みや感じ方。本人と同じように体感することは極めて難しいだろう。だが、デザインを使ってリアルな体感を与えてくれる取り組みをはじめたパラスポーツ団体がある。日本肢体不自由者卓球協会(パラ卓球協会)では、選手が感じている卓球台を可視化するため、「変形する卓球台」を制作、イベントでの展示や公式HPでの紹介を始めている。

不自由はマイナスなのか。もちろん、マイナスな面は多い。だが、パラアスリートは〇〇だからと逃れるのではなく、真っ向から勝負に挑み、果敢に挑戦する道を選ぶ。その姿勢は勇ましい。肢体不自由者枠のパラ卓球は、2つのジャンルに分かれている。立った状態で競技ができる人が参加する「立位」と、座位でプレーする「車いす利用」で、このうちさらに、障がいの重度によってそれぞれ5クラスに分かれて戦う。ルールは、一部、車いす利用者のみ特別ルールが用いられるが、ほかは一般的な卓球と変わらない。だが、体に特徴を持つパラアスリートにとってはやはり、健常者と同じ土俵というわけではない。

脚に不自由さを抱えていれば、そちら側の守備にハンデを抱えることになる。リーチのしづらさから、同じ卓球台でも選手により台の感じ方、捉え方が変わると言うのだ。

左を突き出すように描いた岩渕選手。今、勢いに乗る岩渕選手は2020東京パラで初の金メダルを狙っている。

「両足首に障がいがあるので、左右に振られた時にハンデを感じます。特に左足は自分の力では動けないので、左に振られた時は卓球台が遠く感じます」とコメントするのはリオ2016パラリンピック代表で、今年、アジアパラで銀メダル、世界選手権個人で銅メダルに輝いた岩渕幸洋選手。両足にハンデを持つが、特に、左足の踏ん張りがきかず、卓球台は左側がとても長く感じる。「左右に振られたときにハンデを感じるので、振られないように前でプレーすることを意識しています。そして、勝負をすると決めた時に、思いきり踏み込んで仕掛けます」

今年のアジアパラ銀メダル、世界選手権では個人銅メダルを獲得。2020東京パラで金メダルを目指す茶田選手

車いすの部で活躍する女子アスリートの茶田ゆきみ選手は「車いす同士でも外国の選手に比べて日本の選手はリーチが短いので、届く範囲が違います。だいたいラケット2個分は変わってくる感覚です」とコメント。彼女の場合はネットまでがとても遠く感じるようだ。そんな彼女が描く卓球台のイメージは、自身が立つコート側の距離を長くしたもの。

「ネット際が届かないので、ネットまでがものすごく遠く感じます」。弱い部分を補うため、相手からの返球がネット際にこないようにと、相手の体の真ん中、しかも深めを狙って打つようにしている。

彼らが感じる卓球台のイメージをもとに、それを具現化したのが「変形する卓球台」だ。パラアスリートの感覚をよりリアルに体感できるように実物の天板の制作には国際大会で用いられる国際基準の技術を使った。実物はパラスポーツのイベントなどで体験できるようにする。また、日本が誇るパラ卓球アスリート20人が感じている卓球台のイメージを、公式HPで公開中だ。

パラ卓球公式HP
https://jptta.or.jp/

(text: HERO X 編集部)

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F1 2020年シーズンがいよいよ開幕!スクーデリア・アルファタウリ・ホンダと編集長が代表を務めるRDSがメッセージ

HERO X 編集部

2020年 FIA※フォーミュラ・ワン世界選手権(以下、F1)が7月3日に開幕します。F1チームスクーデリア・アルファタウリ・ホンダと、パートナーシップを結ぶ株式会社RDS(東京都渋谷区 代表:杉原行里 /スギハラアンリ 以下、RDS)は、F1 2020年シーズンの開幕を前に両代表のメッセージを発表。新しいチャレンジのスタートと共に、最速の世界で生まれる先端技術を日常のモビリティへ落とし込み、誰もがボーダレスに移動できる社会に取り組んでいきます。 ※Fédération Internationale de l’Automobile(国際自動車連盟)の略称

最速の技術の先には
私たちの日常がある

〜目指すのは新しいモビリティの可能性を世界に発信すること〜

RDSは、「今日の理想を、未来の普通に。」をコンセプトに、新しいモノ作りのカタチを世界に発信する研究開発型の企業です。これまでモータースポーツ、医療・福祉、最先端ロボットの開発など、多数の製品開発に携わってきました。また、冬季ソチ、平昌では、パラアスリートとギアを共同開発し、金メダルを含む計7個のメダル獲得に貢献。2017年からは、58歳で東京大会のメダル獲得を目指す車いす陸上の伊藤智也選手をテストドライバーに迎え、パーソナルデータをもとにした車いすレーサーの開発に着手しました。そこで生まれた車いすレーサー『RDS WF01TR』、シーティングポジションの最適解を導き出す『RDS SS01』、身体データによりパーソナライズされた車いす『RDS WF01』は、イタリアの国際デザインコンペティション「A’ Design Award & Competition 2020※」で優秀賞を獲得。伊藤選手も実戦で世界トップレベルのタイムを記録など、デザイン性とパフォーマンスを追求するプロダクト開発に取り組んでいます。
※A’ Design Award & Competition (http://www.competition.adesignaward.com/

なぜ、スクーデリア・アルファタウリ・ホンダとRDSはパートナーシップを結ぶのか。F1は、モータースポーツの最高峰であるとともに、自動車業界における最先端研究開発の場でもあります。そこで生み出された技術は、乗用車や街づくりのインフラなど様々な形で私たちの日常に落とし込まれています。RDSは、長年モータースポーツで培ってきた開発力をパラスポーツへと転換し、メダル獲得という新たなチャレンジに取り組んでいますが、モータースポーツもパラスポーツも、人の能力を最大限発揮するために、人の感覚や身体データを可視化し、マシンを調整していくことがパフォーマンスと密接に関係しています。そして、そこで蓄積された技術は、新しい日常をつくるモビリティーに活かすことができます。
昨年よりパートナーシップを結ぶ両社は、意見交換や情報発信など、より協力体制を強化することで、モビリティの可能性を世界に発信し、これからの時代の“移動”について取り組んできます。

スクーデリア・アルファタウリ・ホンダ
F1チーム代表 フランツ・トスト コメント

ハイブリッドターボ時代に最高の結果を手にしたスクーデリア・アルファタウリ・ホンダより、RDSとの契約延長を温かく歓迎いたします。チームとRDSの双方は、常に卓越したデザイン、そしてパフォーマンスという哲学を共有しており、このパートナーシップの成功は、私達とRDSの杉原行里代表が手を取り合い築き上げてきた信頼があってこそ。お互いにとってとても意義のあるパートナーシップなのです。

株式会社RDS 代表取締役社長
杉原行里 (スギハラ アンリ)コメント

スクーデリア・アルファタウリ・ホンダとのパートナーシップで、エキサイティングな舞台に参加できることを嬉しく思います。最速の世界で技術を追求するF1のマシンは、モータースポーツファンだけでなく、誰もが“いつか乗ってみたい”と思う憧れです。これはRDSが目指す未来に深く通ずるものがあります。A’ Design Award & Competition 2020で最優秀賞を獲得した『RDS WF01』は、障害をもった方だけでなく、誰もが“いつか乗ってみたい”と思う車いすを目指して開発しました。私たちのフィロソフィーでもある“かっこいい”モビリティは、様々な壁を超える、そしてモビリティの概念を変えることが出来ます。この先も、“誰もが乗ってみたい”と思うようなプロダクトを世に送り出し、スクーデリア・アルファタウリ・ホンダとともに、世界にモビリティーの進化を発信していきたいと思っています。

F1マシンと車いすレーサーが共演
RDSの目指す世界を表現した「RDS展」

株式会社RDSについて

会社名:株式会社RDS
URL : http://www.rds-design.jp/
設立 :1984年 3月
代表者:代表取締役社長 杉原行里
所在地:埼玉スタジオ 〒369-1211 埼玉県大里郡寄居町赤浜
東京デザインオフィス 〒151-0051 東京都渋谷区千駄ヶ谷3-8-6
Fecebook:https://www.facebook.com/DESIGN.RDS

イタリアの国際デザインコンペティション
「A’ Design Award & Competition 2020」で受賞

スクーデリア・アルファタウリ・ホンダの本拠地でもあるイタリアで開催される世界最高峰の国際デザインコンペティション「A’ Design Award & Competition 2020」。RDSのデザイン力を国際的な評価を測るために初出展しました。結果「RDS WF01」「RDS WF01TR」「RDS SS01」のエントリー全プロダクトが入賞。「RDS WF01」はカテゴリー最優秀賞となるプラチナを獲得しました。

RDS WF01
ランク:プラチナ / PLATIUM Award

WF01は、高性能で高度にカスタマイズ可能な車いすです。スーパーカーのように“いつか乗ってみたい”と思う憧れの存在を目指し、従来の車いすとは大きくスタイリングが異なります。た、車いすという概念を超えて、新しいカテゴリーのモビリティを構築することを目的としています。ハンディキャップのある人だけでなく、誰もが乗りたいモビリティを車いすが実現することで、市場を拡大し、ボーダーレスな世界を提供できるとデザインチームは考えています。
https://rds-pr.com/wf01/

RDS WF01TR
ランク:ゴールド / GOLD Award

WF01TRは、アスリート自身の能力を最大限に引き出し、競技パフォーマンスを向上させるために設計および開発された車いすレーサー。短い距離のレースにフォーカスを当てたデザインは、超軽量、高剛性、高加速であり、コーナリング時のボディホールドと安定性を向上させます。座面や背もたれの位置は、シーティングポジションの最適解を導き出すシミュレーターSS01によって導き出され、製造は、マシンの動きや走行中のフォーム、力の分散バランスなど「感覚を数値化」した力学データをもとにオーダメイドで開発されます。
https://rds-pr.com/wf01tr/

 RDS SS01
ランク:ブロンズ / BRONZE Award

SS01は、人の(特に車いすを使用する最適なシーティングポジションを導き出すために設計および開発された測定システムです。2017年からスタートしたパラ陸上のレース用車いすの開発をきっかけに座面の位置が人の能力に大きな影響を与えるということを理解出来ました。これまで感覚でコミュニケーションされていた要素を数値化することで、パフォーマンスが劇的に向上。その後、ロボット工学のスペシャリスト千葉工業大学・未来ロボット技術研究センター「fuRo」の協力をへて、アスリートだけでなく、多くの方にご利用頂けるシステムを設計しました。
https://rds-pr.com/ss01/

(text: HERO X 編集部)

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