テクノロジー TECHNOLOGY

目は口ほどにものを言う!? 視線で操作できるPCが障がい者の日常を取り戻す

田崎 美穂子

目の動きだけでPCが操作できる ―まるで近未来映画のような話を、オリィ研究所の吉藤健太朗氏が実現させました。たとえしゃべれなくても、手足が動かなくとも、視線でPCを操作できる、これがもう「夢」ではなく、現実のものとなっているのです。

東京都三鷹市にオフィスを構えるオリィ研究所。たった一人ではじまったこの研究所が開発した視線で文字を打つことのできるソフトウェア「OriHime eye」が話題をよんでいます。
「車イスで視線入力をして、発話もできて、しかも前方も見えるようにしたい」というALS(筋萎縮性側索硬化症)患者さんの要望を実現するために生み出されたのがこのPC。透明な画面は、前方を見通すこともでき、さらに音声を発する機能も付いているので発話もできます。加えて、とてもシンプルで簡単に操作できるため、ALS患者さんの念願だった普通のコミュニケーションを取ることを可能にしたのです。

この研究所を立ち上げたのは吉藤健太朗氏。高校3年間、ものづくりの巨匠 久保田憲司師匠に師事し、電動車椅子の新機構の発明で、数々の賞を受賞。高専で人工知能を研究した後、早稲田大学にて独自のアプローチで、分身ロボットの研究開発進めました。小学5年~中学3年まで不登校だった、という自身の経験から、「孤独の闘病」という精神的ストレスの解消を目的に福祉機器の開発を志したそうです。「入院していても、動けなくても、家族や友人たちと日常生活を共にできる、人と人をつなぐ福祉デバイスを開発したいと思いました」。2010年、遠隔型分身コミュニケーションロボットOriHime人型バージョンが誕生。2012年には多方面からバックアップを受けてオリィ研究所を株式会社に。サークル的な活動で始まった研究室が大きな一歩を踏み出したのです。

ALS患者だけでなく、麻痺や肢体不自由などの障害で「動けない、しゃべれない」人にとっても、「会いたい人に会えて、行きたいところへ行き、伝えたいことを伝えられる」が実現可能となる視線入力。まるでSFの世界のような先進技術が、ベッドの上にいても、「親しい人とつながり、闘病生活が孤独でなくなる未来」を創りだそうとしています。

(text: 田崎 美穂子)

  • Facebookでシェアする
  • LINEで送る

RECOMMEND あなたへのおすすめ

テクノロジー TECHNOLOGY

さすが世界のディズニー!公開されたスタントロボットの動画がまさにヒーロー

中村竜也 -R.G.C

近年、ジュラシックパークに代表する恐竜や動物のリアルな動きを再現するアニマトロニクスといわれるロボット技術が映画の世界では多用され目覚ましい発展を見せているが、今回紹介する“Stuntronics(スタントロニクス)”とは一体何なのだろうか?


たしかにディズニーランドのアトラクションでも、コンピュータによって制御されたリアルで滑らかな動きのある生物を演出するアニマトロニクス”は使われているが、なぜにスタントロボなのか?

ディズニーは、この研究開発の一環として、2関節の棒状の体を持つロボットながら、内蔵センサーと関節の連携動作によって空中ブランコのように宙返りをして着地する“Stickman(スティックマン)”と呼ばれるプロトタイプを今年5月に開発。

動画引用元:https://www.youtube.com/watch?time_continue=17&v=MFtNcGnroa8

それからわずか2か月で登場したのが“Stuntronics”。世界を牽引する企業らしいスピード感である。“Stickman”とは違い、デッサン人形のようなボディ形状にすることで、人間が持つ関節の可動域を手に入れ、加速度センサーやジャイロスコープアレイ、レーザー測距技術などを組み合わせて、姿勢に応じた空中スタントを可能としている。開発者たちは、将来的にディズニーランドのショーやライド系アトラクションの一部で、Stuntronicsロボットの人間離れをした動きで、観客を沸かすことに期待しているという。

この映像からも伝わるように、人間に近い骨格と、重みを感じるスムーズな動きは、すでに我々が知っているヒューマノイドロボットを超越し、子どもの頃に抱いたわくわくする気持ちを蘇らせてくれる。まったく、ディズニーが持つしなやかでぶれない世界観はさすがと言わざるをえない。アニメやCGの中でしか見られない超アクロバティックなスーパーヒーローの動きが実現できるとなると、子どもたちにとって夢は膨らむばかりだ。

[TOP動画引用元:https://www.youtube.com/watch?v=ENa98h7M7qY

(text: 中村竜也 -R.G.C)

  • Facebookでシェアする
  • LINEで送る

PICK UP 注目記事

CATEGORY カテゴリー