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イメージするだけで走り出す!まるでSFのような新型車いすの性能とは?

長谷川茂雄

ロシア・ノヴォシビルスクで、脳の信号を読み取る操作システムを搭載した車いすが開発された。近年、筋肉を収縮させたり、声の指令などを出すことなく、脳波のみで操作できるモビリティは、様々な企業や研究機関が続々発表しているが、あらゆる可能性を秘めた今回のこのニュースにも、世界から注目が集まっている。日本国内でも、脳信号を活用して外部世界との相互作用を及ぼすブレイン・マシン・インタフェース(BMI)の認知が広まっているだけに、一般ユーザーからの期待値は高まるばかりだ。

神経細胞が生成するインパルスを
コンピュータで命令に変換

ノヴォシビルスクのエンジニア、イバン・ネブゾロフ氏が開発したのは、脳の信号を読み取って、脳波を命令に変換するシステム。それを搭載した車いすは、ユーザーが首から下肢まで麻痺していても、脳が損傷していなければ操作が可能だという。

脳の神経細胞が生成するインパルスをコンピュータで変換することで、前進・後進、ストップ、左・右、ヘッドライトの点灯・消灯、シートの前傾・後傾といった基本的な動きが、座っているだけでスムーズに行える。

日本でも2009年に、トヨタ自動車と理化学研究所が、BMIを搭載した車いすの開発成果を公開し話題になったり、「2017国際ロボット展」では、金沢工業大学がPCと接続した専用ヘッドセットを頭に装着して脳波で操作する車いすを出展したことは、記憶に新しい。脳波を使い、操作性を高めた車いすの開発は、あらゆるアプローチを増やしながら少しずつ前進している。

イバン氏が開発したこの車いすで興味深いのが、無限軌道(キャタピラ)により、急な階段の上り下りや縁石の乗り越えも可能にした点だ。脳波で操作できるだけでなく、高低差のある場所も走行できるようになれば、ユーザーの行動範囲は格段に広がる。いずれにせよ、このプロダクトの今後の動向からは、目が離せなそうだ。

[TOP動画引用元:https://www.youtube.com/watch?time_continue=1&v=FE2Nw3t4ivE

(text: 長谷川茂雄)

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パラアスリートを支える、もうひとりのヒーロー、義肢装具士

Yuka Shingai

コーチにトレーナー、ドクターなど──アスリートをサポートする立場は数あるが、パラアスリートの活躍を語るうえで忘れてはならないのが義肢装具の製作や調整を行う義肢装具士だ。日頃は黒子に徹しながらも、アスリートを勝利に導くために技術を研鑽し、職人としての道を究める、舞台裏のヒーローに迫ったインタビューをアーカイブ記事からピックアップしてお送りしよう。

アスリートの100%に100%で応えたい。
義肢装具士・沖野敦郎 【the innovator】

【元記事URL】:http://hero-x.jp/article/3161/

台東区・蔵前で(株)OSPO オキノスポーツ義肢装具* を営む沖野敦郎さんのインタビュー。使う人の要望を捉え、本当に満足してもらえる義肢装具を作るために、断端の採型(型採り)から義足の組み立てから納品に至るまで、一切分業せず、すべて沖野さんがひとりで行っている。

乗りやすい車をとことん乗り倒すのと同様に、ぴったりフィットした義肢装具なら壊れるまで使うため、あとに残らないし、それだけにメンテナンスが重要という沖野さんの持論は興味深い。月に1回ランニング教室を開催したり、パラスポーツから「ツールスポーツ」に発展してほしいと語る後編も合わせて必読だ。

(*2019年10月より法人化、名称変更あり)

モンスターをスーパーモンスターに。
世界中のトップアスリートが慕う、大阪のアニキ技師
【川村義肢株式会社:未来創造メーカー】

【元記事URL】:http://hero-x.jp/article/1529/

大阪府大東市にある川村義肢株式会社で30年以上、技師の仕事に従事する中島博光さんは、これまで20年近くさまざまなパラスポーツのシート関連製作に携わってきた大ベテランだ。名刺も配らない、営業の電話も出張もしない、徹底した現場主義の中島さんの技術力と審美眼に惚れ込むアスリートが競技を問わず全国から集まってくるが、顧客である選手に「現役選手兼メカニックになっても、いいと思う」と語る真意はいかに?

技師の仕事とは別に、廃校を利用したウィルチェアーラグビーの活動も含め、中島さんの人柄と情熱が周りを惹きつけてやまないことが感じ取れる。

アスリートと義肢装具士の間にあるドラマを知ると、競技観戦がまた一段と面白くなりそうだ。

(text: Yuka Shingai)

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