テクノロジー TECHNOLOGY

幻肢痛の緩和にも効果大!歩行の感覚を脚に伝える義足の開発が進行中

Yuka Shingai

ロボットや義手を使うことで、手に触覚フィードバックを与える研究はこれまでも数多く発表されてきたが、脚の切断患者に感覚を取り戻させるという試みがスイス連邦工科大学チューリッヒ校の研究チーム内で進行している。既製品の義足にセンサーや電極を取り付けて、膝を曲げたとき、足裏が地面に着いたときの感覚をユーザーに返しているとのことで、まだ、サンプル数は少ないながらも、今後の期待値は高い。

今回の被験者は膝上からの切断患者と太ももからの切断患者の2人。使用した義足は膝の結合部分にマイクロプロセッサとセンサーが搭載されており、研究チームはさらに、足首につないだコントローラーにBluetooth経由で信号を送る7個のセンサー付きのインソールを追加した。

このコントローラーが、太ももの背面にある脛骨神経に埋め込まれた電極を通じて、神経系に感覚を伝達する仕組みを果たし、脳が膝や足からのフィードバックとして情報を認識できるようになるようだ。

被験者はこの義足を使うことで、歩行時のスピードが上がった、疲れにくくなった、より自信をもって動けるようになったなど回答しており、酸素消費量の減少も見られた。また、多くの切断患者を苦しめる幻肢痛についても、神経に電気による刺激を与えることで大幅な緩和が確認されている。

現時点ではまだラボ内でデバイスの接続が必要だが、同チームは今後、より多くの患者への技術提供とラボの外での使用を目指して更にテストを進めていきたいと語っている。切断患者のQOL向上に大きくインパクトを与えてくれる存在として、続報を待ちたい。

[TOP動画引用元:https://youtu.be/fVvvwENkXFA

(text: Yuka Shingai)

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朝倉 奈緒

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We’re The Superhumans」とタイトル付けされた2016年リオデジャネイロ・パラリンピックのCMは、このために結成されたオリジナルジャズバンド「The Superhuman Band」が演奏する「YES I  CAN」をバッグミュージックに、実際に出場する100名以上の選手がプレイする様子や、彼らの日常生活をリアルに、かつコミカルに描いたもの。 The Superhuman Bandは、車いすでスピンしながら伸びやかに歌うジャズボーカル、足の指でドラムスティックを器用に操り力強く叩くドラマー、義手のチェロ奏者など、様々な個性をもつ“ Superhumans ”が結束。パラリンピアンが真剣に走る横を車いすボーカルがねっとりと歌いながら並走したり、義足のダンサーが現れたり、その間にパラリンピアンの私生活が差し込まれたりと、テンポよくシーン展開され、視聴者は目が離せません。演出はコミカルですが、「YES I CAN!」と何度も繰り返される言葉と共に、にパラリンピアンが素晴らしいパフォーマンスを見せてくれるシーンの連続に心を打たれ、ラストのWCMXライダーが大きく飛び立つシーンでは思わず鳥肌が立つほどの迫力です。

2012年ロンドン・パラリンピックで同局が公開したCM「Meet The Superhumans」は、カンヌライオンズのFilmCraft部門でグランプリを受賞。今作もSNSを中心に世界中に広まり、絶賛の嵐となっています

この楽曲「YES I CAN」はiTunesやamazonで購入可能なのでぜひダウンロードを。そして、日本中にも「YES I CAN!!」の声が響き渡りますように。

(text: 朝倉 奈緒)

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