自然に背筋が伸びるポジションで
車いすに座る

チェコで開発された車いす「Seiza」は、ちょっと変わった座り方をする車いす。ユーザーは、通常の車いすとは違い、膝をやや内側に曲げ、軽くひざまずくように座る。通常の座位よりも背筋が自然に伸び、また、全身の血液循環がよくなり、様々な部位の筋肉を活性化するという。

(画像元:http://zdravydesign.com/en/product/seiza/)

開発者は、日本の「正座」にヒントを得たそう。最も古い座り方といわれている正座は、ひざを折ることで上半身が自然と正しい位置を見つけ、背中をまっすぐに保つ。彼らは、通常の車いすに座ったときに、背骨が不自然に曲がったり、腹部の筋肉が弱ってユーザーの身体の衰弱につながる場合があることを問題点とし、この独特のポジションで乗る車いすを思いついたという。

カーボンファイバーチューブを接続しているジョイントは大量生産ができるため、製造コストを下げることにも成功した。フレームはあらゆるサイズにセットアップでき、様々なユーザーにフィットする。

チェコは古い町並みが多く、バリアフリーが完備されているとは言えないが、公共交通機関などは車いすやベビーカーに配慮された作りになっている。また、プラハでは車いすテニスの大会なども開催され、日本人の選手も出場している。車いすや福祉器具への関心は、決して低くない。

「Seiza」は数々のデザイン賞を受賞し、デザイン面でも高く評価されている。日本の伝統にインスパイアされた車いすが、車いすユーザーの新しいライドポジションを切り拓くかもしれない。

(トップ画像:https://www.pinterest.jp/pin/488218415838060075/