プロジェクトを立ち上げた日本財団の沢渡一登氏 (写真:長尾真志)

「ROCKET」は、東京大学先端科学技術センターの中邑賢龍教授をディレクターとし、日本の現状の教育とは違う方法で彼らの優れた部分を伸ばしていくことに特化したプロジェクトです。
その特徴は、
・ユニークな子どもを潰さない
・「変わっている」ことを治さない
・学びを強制しない
・教科書や時間制限がない
・苦手なことは※ICTで補う
・教えるのではなく挑発する

もはや現状の教育とは真逆と言っても過言ではないほどの自由さを感じることができます。そして、社会に出てから彼らがどういった分野で活躍できるかを、いかに伸ばすかという意図があると沢渡氏は言う。
「我々の仮説としては、オールマイティで協調性のある人からは、イノベーションは起きづらいと思っています。やっぱり人と違った考えを持っていたり、変わっているからこそイノベーションは生まれる可能性が膨らむわけです。エジソンやスティーブ・ジョブスなどもそうですが、変わっているからひとつのことをやり抜けて結果が出せたのです」。
世の中の常識にとらわれず、眠っている新しい感覚を最大限に引き出す手助けをするのが、この「ROCKET」の最大の目的のようだ。今の日本の教育を否定しているのではないのだが、どうしてもその枠から外れてしまう子たちは存在します。その子たちの居場所を作ってあげるという観点からも、素晴らしいプロジェクトだと感じました。

どのような授業構成なのだろうか?

解剖して食す授業で作った料理。

ROCKETの授業は、テクノロジー、コミュニケーション、プレゼンテーション、科学的思考、美的センス、ビジネスの6つの柱で形成されています。その中で、共同作業やフィールドでの課外授業、現在社会で活躍するトップランナーの講義など、常にリアルな授業が自由という規律の中で行われていくのです。

「ROCKETの授業では、子どもたちの好きな事を伸ばすと言いながらも、実は彼らの興味のない事を課題にする事が多いのです。一見無駄と思われるような事を、本人たちの興味関心があるところとは別のところでプログラムを用意しています。それとROCKETでは友達を作る必要はないとも教えています。なぜならそれが苦手な子たちですし、横のつながりというよりかは、先生を通してのつながりがあれば、「好き」を伸ばし続けた時に自然と周りには同じ「好き」を持った人間が集まってくるからです。でも不思議なもので、実際の学校では友達ができなかったり、いじめられていた子でも、ここでは友達になっていくんです」。

トップランナー講義(為末大さん)

今の社会では、多数が共感できることが当たり前のこととして成り立ってしまっていますが、ROCKETに通う子どもたちからすれば、我々が変わっていると思われているかもしれないのです。それはどちらも間違いではなく、正解でもなく。だからこそ人とは違う感性を持った人たちにも、理解と環境のある社会が必要なのです。なぜなら私たちは皆、同じ世界に住んでいるのですから。

Vol.2では、ROCKETで実際に行なわれている、授業内容について紐解いていきます。
※ロケットでは、障がいの有無はプロジェクトの選考に関係ありませんが、結果的に発達障害の診断を受けていたり、発達障害的な困難さを持っていたりする子供も少なくありません。

オフィシャルサイト
https://rocket.tokyo/

(写真提供:日本財団)